20110814 NO.2
◎教育厚生委員会行政視察報告
 7月11〜13日に、私が委員長を務める教育厚生委員会の行政視察を行った。千葉県船橋市で救急医療体制について、長野県長野市で地域包括支援センターの体制整備についてそれぞれ視察した。どちらも今治市の懸案事項であるが、市民生活に直接影響する救急医療体制について報告する。
 今治市の救急医療体制の現状は、大学病院等からの派遣医師の減少や、第1次救急を担う在宅医の高齢化などによる医師不足、それに加えて、軽症救急(いわゆるコンビに受信)が多く、関係者によると、危機的状態にあるといわれている。このような状況を改善するために、救急医療の先進地である船橋市を訪ね、その取り組みを視察した。
  一次救急とは・・・外来で対応できる程度の軽い病気やケガ
  二次救急とは・・・手術や入院治療を必要とする場合
  三次救急とは・・・より専門的治療を必要とする場合
 船橋市は、合併前の旧今治市より少し広い85平方qの市域に、60万人が暮らしている。平成5年度には、全国に先駆けて、出動時から医師が同乗して現場に駆けつけるドクターカーを配備するなど、常にトップクラスの救急体制を整えている。ドクターカー以外の特徴的なものとして、一次救急に対応する「夜間休日急病診療所」と、三次救急を担う「医療センター救命救急センター」を船橋市が直営で運営している。
 午後5時から翌朝午前9時までの診療は、9病院が輪番制で受け持っており、基本的には今治市と同じではあるが、午後9時から午前6時までは、夜間休日急病診療所が窓口となり、軽度の患者を診療するとともに、本当に二次救急が必要な患者だけを輪番制の当番病院に送っている。このことによって、今治市でも問題になっているところの、二次救急病院でのいわゆるコンビニ受診弊害が解消されている。
 救急出動要請(119番通報)があれば、通報の内容によって指令課が判断し、特別救急隊(ドクターカー)が駆けつける。ドクターカーは、24時間体制で運用されており、市内の開業医が輪番で詰めている。このため、通常の救急出動でも、救急救命士が待機中の医師と交信し、その指示で適切な処置をしながら患者を搬送することができる。市民にとって、本当に心強い体制である。
 ここで、本題である今治市の体制をどのように改善していくかを考えてみたい。船橋市と今治市が大きく違っている点は、ドクターカーと一次救急である。今治市に船橋市と同じようなものを作れば解決するようなものではあるが、どちらも、開業医、医師会の献身的な協力があってこそ運営が可能となり、加えて、高額の財政支出が伴わなければならない。現在の今治市にとって分不相応であることは言うまでもないが、将来の目標として頭の隅においておかなければならない。根本的な問題である医師、医療関係者の不足については、首都圏の船橋市では今のところは問題ないそうであるが、今治ではそうはいかない。国、県を大きくまき込んでの体制作りの必要性を強く感じてしまった視察であった。



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