20110616 NO.2
◎国づくりと教育
原発事故によって、自然エネルギーに対する注目が一気に高まっている。それはそれで大変良いことであるが、先にも述べたように、よく考えなければならない。自然エネルギーでの発電は不安定な要素があり、電力供給する側はそれを補完するための予備設備を保有する必要がある。自然エネルギー発電設備は、そのもの自体が高コストで、予備設備の分まで加えると商業ベースには乗りにくい。一般家庭に設置されている太陽光発電は、設置するときに国や地方自治体の補助を受け、昼間の余った電力を、通常の電力料金の倍以上の価格で電力会社に買い取ってもらい、長い年月をかけて採算がとれる代物である。結局のところ、税金や電力料金の形で国民が負担している。
政治家は、本質的に世論を強く意識する。原発事故をうけて、一国の首相が自然エネルギーのコストを何分の一にし、比率を何%にするなどと根拠のない数字だけを並べてみたりしてしまう。国のエネルギー政策がころころと変わることは好ましくない。世論を形成する国民一人ひとりが、自己中にならず、全体目線でしっかりとした考えを持ち、それに沿った政治が行われるような国づくりが必要である。
そのためには、子どものうちから、社会の根幹となる物事について自分の考えを持つことができるような教育が行われなければならない。エネルギー政策をはじめ、税負担のあり方、国の防衛など、義務教育の課程で議論を重ねて欲しい。統一された結論を導き出すのではなく、議論の中から自分の考え方を身に付けるのである。食糧問題についても、どこからでも安いものを買えばいいのか、自国で生産すべきか、品目を絞って自給するとか議論してもらいたい。学校の先生ではコーディネータが無理な場合でも、ネットを利用すればいくらでも方法がある。社会保障について、とりわけ、年金問題について考えることは自分の一生を考えることになるから、子ども達に取り組んでもらいたい。
同じような議論を、ほとんど義務教育化している高校でも行って欲しい。人間の成長に伴う考え方の進化を期待したい。
原発のない社会を実現したいと思う。そのためには、電力使用量を大幅に減らすとともに、高料金も受け入れなければならない。生活スタイル、住環境も大きく変える必要がある。教育力に日本の将来がかかっている。
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