20110616 NO.1
◎東日本大震災
 未曾有の大災害が起こってしまった。天罰というのはあまりにも不適切であるが、現代社会に対し警鐘が打ち鳴らされたのは間違いない。被災された皆様に心からお見舞い申し上げるとともに、一日でも早い復興を祈願する。
 想定していたものを超える事態が起こってしまったため、慌てふためいて、反って混乱を助長させてしまっているような場面を度々目にしてしまう。冷静になり、地に足を着けた行動をしなければならない。原発事故にしても、責任論云々より、今できることを、着実に、一つ一つ行っていくしかないのである。脱原発、自然エネルギーへの転換など、言うことは簡単ではあるが、よく考えなくてはならない。
 震災復興のための財源が議論され始めた。私は、消費税増税に賛成の考え方ではあるが、今はそのタイミングではないと思っている。震災以前から、日本はデフレスパイラルに陥っており、大卒者などが就職難で大変困っている。震災の影響を受け企業活動が制限されている中で、それに追い討ちをかけるような増税が行われたのでは、日本経済はますます縮こまって、被災地だけでなく、日本全体が立ち直れなくなってしまう。
 節電ムードが広がっている。それ自体は悪いことではない。しかし、節電は電力消費を減らすものであり、電力以外の消費にも大きく影響してしまう。一日でも早い震災復興のために、経済復興を第一に考えなければならないと思わずにいられない。休止している原発をフル稼働して、十分な電力供給体制を整えるといったような議論も必要である。もちろん、安全性を無視せよなどと言う気はない。しかし、東電以外の電力会社だって、絶対に事故は起こさないという意識を強めた中で、必死になって安全対策をしているはずであるから、それを信じもせずにあれこれ言っていたのでは、前を向いて進めないのではないだろうか。
 技術的見地から言えば、想定外のことには対応できない。クリアしなければならない数値があるから、そのための計算が成り立つのであって、際限のないものにはお手上げである。実際のところは、不測の事態のために安全率という一種の余裕を持たせてあるから、多少の想定オーバーは許容されている。今回の震災を教訓として、想定される事象のレベルが高くなり、加えて、災害に対する意識が高まったことは事実であるから、日本の力を信じて一歩一歩前進して行くべきだと思っている。


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