20111214 NO.2
◎上越市
上越市は、平成17年1月に、全国最多となる14市町村が合併して現在の姿になった。合併の形は、元の上越市に13の町村が吸収される編入合併であり、合併に際して、編入町村住民の不安を解消する目的で、13の区域に合併特例法に基づく「地域自治区」を設置した。
上越市では、合併協議の段階から、合併のメリットを住民自治の充実と捉え、法律が施行される前から地域自治区の制度を設けることで合意していた。あわせて、自治区の運営を協議する地域協議会の委員選出を住民投票で行うことも決められていた。
合併後では、地域自治区制度を活かして、さまざまな地域事情を把握した行政運営を行い、また、市民自らの手によるまちづくり活動をより推進しようと考え、平成19年度に、この制度を合併特例法に基づくものから地方自治法に基づく制度に移行した。さらに、平成21年度には、合併前の旧上越市の区域にも15の地域自治区を設置し、市の全域で地域自治区制度をスタートさせている。
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photo-2 上杉謙信ゆかりの春日山城跡
・地域活動支援事業
全域に地域自治区ができたところで、地域の問題解決や活力向上に向けた住民の自発的・主体的な活動を推進する目的で、年度ごとに、総額2億円の地域活動資金を28の地域自治区に配分する事業が始まった。
各区への配分方法は、地域課題の解決のための基礎的財源として各区均等に500万円、地域活力向上分としては人口割合で配分して、1区当たり合計額530万円から1,410万円になっている。
実施に当たっては、各区の地域協議会で採択方針を決めて事業提案を募集、審査し、採択決定後広く市民に公表されている。団体等が主体的に取り組む事業に対しては市が補助金を交付し、市の施設等にかかわる事業については、市が直接執行する。年度末には、成果報告会を開催して実施結果を公表し、配分に対する残額は翌年度分に加算している。平成22年度の事業事例集をいただいてきたが、花いっぱい事業、防災対策事業、スポーツ少年団育成事業、お祭り事業、芝生のゲートボール場整備etc、ソフト、ハード多岐にわたっている。
地域協議会委員選出を公選制にし、そして、地域の自主事業を行うことによって、地域を支えていく人材が育っているとのことで、最高の形で事業効果が現れていると感じた。
上越市の合併は、時期こそ今治市と変わりないが、合併までの諸準備、合併後の行政運営、どちらを見ても先進である。旧市と周辺町村との関係は今治市と非常に似かよっていながら、合併方式も合併後の行政運営も対極にある。今後の上越市の状況、特にこの事業の動向を注目していくべきである。
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